雷の発生と雷撃の種類

雷害対策の方法[雷保護システム]サージ防護デバイス

建物内の各機器を雷サージから防護します

建物内部の電源設備、通信機器を雷サージから防護するためにSPDの設置や等電位ボンディングを構築することが必要です。特にJIS化に伴い、大電流に対応するSPDが必要になりました。

雷保護対策の考え方

総合的な雷保護対策

従来国内では、直撃雷の建物への保護としての雷保護設備(雷保護システム)と設備機器の雷保護が別々に構築されていました。瞬間的に巨大なエネルギーを発生する雷への対策としては、両者を総合的に実施することが効果的であり、特に設備機器への保護効果は絶大です。

 

雷保護システム

直撃雷による建物の火災や破壊、人体の損傷などの直接的な被害を防ぎ、建物内部での異常な過電圧を防止する。受雷部、引下げ導線および接地システムからなる「外部雷保護システム」と等電位ボンディングや安全離隔距離の確保を含む「内部雷保護システム」とで構成される。

 

雷サージ防護対策

雷電流およびその分流電流並びにそれに起因する電気磁気的な影響で発生する誘導過電圧(雷サージ)から建物内の設備機器を防護する。

雷保護システム関係のJIS

JIS Z 9290-1 2014 雷保護-第1部:一般原則
JIS Z 9290-3 2014 雷保護-第3部:建築物等への物的損傷及び人名の危険
JIS Z 9290-4 2009 雷保護-第4部:建築物内の電気及び電子システム
JIS C 5381-11 2014 低圧サージ防護デバイス-第11部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの要求性能及び試験方法
JIS C 5381-12 2014 低圧サージ防護デバイス-第12部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの選定及び適用基準
JIS C 5381-21 2014 低圧サージ防護デバイス-第21部:通信及び信号回線に接続する低圧サージ防護デバイス(SPD)の要求性能及び試験方法
JIS C 5381-22 2007 通信及び信号回線に接続する低圧サージ防護デバイスの選定及び適用基準
JIS A 4201 2003 建築物等の雷保護

雷保護領域とSPDの選定

雷について

雷保護領域(LPZ)とSPD

JISでは、各雷侵入領域別に雷保護領域(LPZ*1)区分を行っています。その領域と雷エネルギー量に見合う最適なSPDを選定する必要があります。

JISで規定する機器の耐インパルスカテゴリ

雷について

機器のインパルス耐電圧と雷保護協調を確保

低圧電源に接続される機器は、その使用等級を区分するため、機器の過電圧カテゴリ別(機器のインパルス耐電圧性能別)にⅠ〜Ⅳに分類されています。また、その機器のインパルス耐電圧と雷保護協調を取るために適切なSPDの保護レベルを選定する必要があります。

建築設備設計基準(平成27年版)

SPD分離器や分離器の使用基準を明確化

建築設備設計基準は、平成27年版が平成27年8月に発行されました。この平成27年版への変更で、SPD分離器の記載が大きく変わっています。旧版(平成21年版)では、「低圧用SPDに設ける配線用遮断器は、クラスⅡについては、50AT(50AF以上)、クラスⅠについては225AT(225AF以上)の警報接点付き配線用遮断器とし、特記する。」と記載されていましたが、平成27年版では、「低圧用SPDに設けるSPD分離器は、SPDを設置する箇所の短絡電流以上とし、特記する。ただし、低圧用SPDが分離器を内蔵する場合は、この限りではない。なお、SPDの故障を考慮し、分離器より上位の遮断器と過電流協調を検討する。」との記載に変わりました。この変更により、SPD分離器は、SPDとの過電流協調が難しい配線用遮断器を使用する必要がなくなり、SPD製造業者の指定するSPD分離器を使用することになりました。また、「分離器を内蔵する場合は」の文言によって、当社の分離器内蔵AGN-2シリーズは分離器無しでの使用が明確に認められました。

公共建築工事標準仕様書(平成28年版)

低圧用SPDの要求仕様にJIS C 5381-11が記載

公共建築工事標準仕様書は、平成28年版が平成28年3月に発行されました。この28年版への変更で、低圧用SPDの要求仕様にJIS C 5381-11が記載されました。このため、公共設備にはJIS C 5381-11対応品が必要になります。また、分電盤に設置するAC用SPD、および接続箱に設置するPV用SPDの公称放電電流は、5kA以上と記載されています。これにより、高性能のAGNシリーズ、ADNシリーズのみならず、コストパフォーマンスの高いGN-2、GN-1シリーズおよびDNシリーズはすべて公共設備に使用可能です。

社団法人公共建築協会評価書

雷について

品質や性能の基準を満たしている製品に交付される評価書

社団法人公共建築協会が建築材料・設備機材の品質や性能等を評価し、その基準を満たしているものに交付されます。交付後は国土交通省へ報告されるほか、同協会が発行する公共建築工事標準仕様書等にも紹介されます。

 

評価書

本評価書は営繕工事の公共発注者が行う監督業務の簡素化および迅速化を図るため、営繕工事において標準的に使用される材料・機材等のうち重要なものを対象とし、通常各工事現場において確認している品質・性能等において、あらかじめ審査を行い交付されます。

 

評価の結果

1. 国土交通省大臣官房官庁営繕部監修
「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)」に適合する品質・
 性能が確保されている

2. 適切な品質管理・製造管理が行われている

3. 納入体制が整備されている

4. アフターサービス体制が整備されている

直撃雷の波形

雷について

10/350μsのエネルギー比は8/20μsの20倍

従来、国内における雷電流波形は、JECやその他の規格においても8/20μsが主流でしたが、現在JISにおいては直撃雷の電流波形を10/350μsとしています。10/350μsと8/20μsの電流波高値を同じとした場合、そのエネルギーの違いは下図のように面積に置き換えて比較できます。そのエネルギーの比は8/20μsに対して10/350μsは約20倍以上となります。

SPD分離器の重要性

SPDの発火、焼損、さらには火災の原因となる故障時の短絡電流への対応

SPDは定格以上の雷サージ電流の通電や定格以内の雷サージ電流であっても、それが繰り返し通電された場合、または定格を超える一時的過電圧(TOV)が印加された場合、一般的なクラスⅡSPDは、短絡方向に故障します。この時、SPDを接続している電源幹線からSPDを安全に切り離しができない場合、SPDは発火、焼損し、最悪の場合、火災の原因となります。 そのため、SPDには短絡故障時に安全に電源幹線からSPDを切り離す機構(SPD分離器)が必要です。一般的には、内部素子の漏れ電流の増加時に動作するSPD内部の熱分離器と、SPDの内部、外部または両方に実装し、SPDの短絡故障時に生じる短絡電流で動作する過電流分離器(電流ヒューズ、MCCB等)で構成し、SPDが劣化した場合、どちらかの分離器でSPDを安全に電源幹線から切り離すことが必要です。 また、電流ヒューズ形のSPD分離器(SFD)は、2013年12月に製品規格(JEITA RC-4501)及び適用規格(JEITA RC -4502)が制定され、SPD分離器に要求される性能や適用方法が明確に規定されました。この規格では、必要な雷サージの通電性能を有し、かつ故障したSPDを早期に分離する定格電流の低いヒューズを要求しています。また、この規格の付属書では、日本のようなTTシステムでは、短絡電流がシステムの接地抵抗値に依存し、システム毎に異なるため、SPD内部の熱分離器とSPD分離器の両方で、全領域における短絡電流の遮断を要求しています。当社の電源用SPD AGN-4シリーズ及びPV用SPD ADN,DNシリーズではSPD内部の熱分離器の遮断性能(SIT)を明確にし、指定するSPD分離器の接続により、SPD故障時の短絡電流を全領域において遮断(SITS®)を可能としました。

電源用SPDの試験規格の改定について

試験規格改定の経緯と厳格化による安全性向上

電源用SPDの要求性能と試験方法は、IEC(国際電気標準会議)にて、1998年にIEC 61643-1として初めて制定され、その後、日本では2004年に完全翻訳JISとしてJIS C 5381-1が制定されました。日本では、従来、「保安器」「避雷器」「アレスタ」と「呼ばれ、インフラ設備を中心に導入されていた製品が、このJISの制定によりSPD(サージ防護デバイス)と用語が統一され、広く世間に普及することになりました。 この最初のSPDの規格は、識別、表示、雷に対する試験方法(電圧防護レベル、公称放電電流、インパルス放電電流等)、端子および接続のみが「要求事項」であり、その他の試験は、「要求によって試験する」に留まっています。そのため、SPDの安全性に関しては、十分とは言えませんでした。
1998年にIEC 61643-1が発行された後、IECでは2005年にIEC61643-1 Ed2.0が発行され、2011年にIEC61643-11が発行されています。一方、日本では、2005年に発行されたIEC61643-1 Ed2.0はJIS化されず、2011年に発行されたIEC61643-11が、2014年にJIS C 5381-11として制定されました。この新しいJIS C 5381-11は、SPDが故障した場合の挙動(安全に壊れること)や一時的過電圧(TOV)に対する挙動、信頼性試験等が追加され、すべてが「要求事項」となっています。よって、この新しいJIS C 5381-11に対応した電源用SPDは、従来のJIS C 5381-1に対応したSPDと比べ、遥かに安全性が向上しています。

JIS C 5381-11とJIS C 5381-1

SPD故障時の安全性確認を大幅に強化

JIS C 5381-11では非常に多くの試験が新たに規定され、特にSPD故障時の安全性確認は非常に強化されています。電源用SPDは多回数の雷電流の通電や、公称放電電流(または最大放電電流)を超える雷電流の通電等により、短絡方向に劣化、故障します。JIS C 5381-11では、このSPDの劣化から短絡故障となる過程を各段階で再現して、安全性(安全に故障する事)を確認する試験が新たに規定されました。


JIS C 5381-1の要求事項 JIS C 5381-11の要求事項 指定するSPD分離器を接続する試験 短絡電流試験装置を使用する試験
主電源 副電源
一般的な要求性能 識別 識別 - - -
表示の不滅性 表示の不滅性 - - -
電気的要求性能 感電保護 感電保護 - - -
- - 漏電電流 - - -
測定制限電圧
•電圧防護レベルUp
測定制限電圧
• 電圧防護レベルUp
- - -
動作責務試験
• 公称放電電流In
• インパルス放電電流Iimp
動作責務試験
• 公称放電電流In
• インパルス放電電流Iimp
-
- - 耐熱性試験 - - -
- - 熱安定性(下記参照) - - -
- - 短絡電流耐量(下記参照) -
- - SPDの故障モードを模擬する試験(下記参照)
- - 絶縁抵抗 - - -
- - 耐電圧 - - -
- - 低圧システム側の故障による一時的過電圧(TOV)(下記参照) -
- - 高圧システム側の故障による一時的過電圧(TOV)(下記参照)
機械的要求性能 端子および接続 ねじ、通電部分及び接続部の信頼性 - - -
- 外部導体用端子 - - -
- 空間距離及び沿面距離 - - -
- - 機械的強度(衝撃試験) - - -
環境および材料的な要求性能 - - 固体の侵入、水の浸入の耐性(IPコード) - - -
- - 耐熱性 - - -
- ボールプレッシャー試験 - - -
- - 異常加熱及び火災に対する耐熱性 - - -
- - 耐トラッキング性 - - -

 

指定するSPD分離器

SPD分離器はSPDが短絡故障した際に短絡電流を遮断し、SPDを電源幹線から分離するための過電流分離器です。 JIS C 5381-11では、製造業者が指定するSPD分離器を接続して、各種安全試験を実施するため、当社指定のSPD分離器以外の分離機器を接続した場合、SPDの安全性が確保できません。そのため必ず当社指定のSPD分離器を接続してご使用下さい。

 

熱安定性

熱安定性試験は、SPDが劣化し漏れ電流が徐々に増加した時に、安全に電源からSPDが分離できることを確認する試験です。 試験は、電圧スイッチング素子(主にGDT:ガス入り放電管およびギャップ)を短絡させた状態で行います。 SPDが動作開始する交流電圧を試料に印加し、その電圧を徐々に上昇させ、電圧制限素子(主にMOV:金属酸化物バリスタ)に流れる漏れ電流を2mAから徐々に増加させます。漏れ電流の増加に伴う電圧制限素子の発熱を素早く検知し、SPD内部の熱分離器により、SPDを安全な状態で電源から分離できることを確認します。

 

短絡電流耐量試験

短絡電流耐量試験は、SPDが劣化し漏れ電流が徐々に増加した時に、安全に電源からSPDが分離できることを確認する試験です。 試験は、電圧スイッチング素子(主にGDT:ガス入り放電管およびギャップ)を短絡させた状態で行います。 SPDが動作開始する交流電圧を試料に印加し、その電圧を徐々に上昇させ、電圧制限素子(主にMOV:金属酸化物バリスタ)に流れる漏れ電流を2mAから徐々に増加させます。漏れ電流の増加に伴う電圧制限素子の発熱を素早く検知し、SPD内部の熱分離器により、SPDを安全な状態で電源から分離できることを確認します。


SPDの故障モードを模擬する試験

SPDの故障モードを模擬する試験は、劣化/短絡故障したSPDに電源の短絡電流が通電される状態を模擬し、SPDが安全に故障することを確認する試験です。
試験は、SPDに指定する分離器を接続して実施します。最初に電流を1~20Aの範囲で調整した副電源で、SPDのUcの3倍以上の電圧を5秒間、SPDに印加します(これを前処理と呼びます)。前処理に続き、主電源で、電圧はUREF(基準試験電圧)、電流は100A、500A、1000A、推定短絡電流に設定した電圧、電流をSPDに通電します。 この試験は、SPDに内蔵する電圧制限素子を劣化/短絡故障させた後に短絡電流を流す試験のため、実際のSPDの故障状態を確認する試験となります。

SPDの故障モードを模擬する試験の試験回路とタイミング

 

低圧システム側の故障による 一時的過電圧(TOV)

低圧システム側の故障による一時的過電圧を2時間印加します。低圧システム側の故障による一時的過電圧は、低圧回路の地絡事故や短絡などで、比較的容易に生じるため、SPDは、この一時的過電圧に耐えることが良い。 昭電のJIS C 5381-11対応のSPDは、低圧システム側の故障による一時的過電圧では故障しません(耐えます)。

 

高圧システム側の故障による 一時的過電圧(TOV)

試験は、SPDに指定する分離器を接続し、基準試験電圧UREFを印加します。この状態で、高圧システム側の故障による一時的過電圧を1秒間印加します。 高圧システム側の故障による一時的過電圧の発生確率は低いため、試験後にSPDは故障しても良く、試験は「耐える」または「安全に故障する」ことを確認します。 昭電のJIS C 5381-11対応のSPDは、接地間にGDT(ガス入り放電管)またはギャップを実装することで、接地間の過電圧で動作しない、あるいは動作し故障しても絶縁を維持することができます。

 

一時的過電圧(TOV)

一時的過電圧(TOV)の試験は、SPDの故障原因の1つである電源電圧の一時的上昇に対するSPDの挙動を確認する試験です。電源電圧の一時的な上昇は一時的過電圧(TOV:temporary overvoltage)と呼ばれ、比較的に発生確率の高い「低圧システム側の故障」によるものと、発生確率の低い、「高圧システム側の故障」によるものがあります。 このTOV電圧は各国の電源システムにより異なります。しかし、JIS C 5381-11では、IEC(ヨーロッパ)システムのTOVが記載されており、日本のTOV電圧と合っていません。現在IEC SC37A WG3およびWG5での審議を経て、次のIEC改訂では、日本のTOV電圧を追記することとなっています。現在、IECで審議中の日本の電源システムにおける基準試験電圧UREFとTOV電圧を次に示します。


基準試験電圧UREF 低圧システム側の故障による一時的過電圧(120分) 高圧システム側の故障による一時的過電圧(1秒)
L-N L-PE L-L N-PE L-N L-PE L-L N-PE L-N L-PE L-L N-PE 試験電流
単相3線 中性線接地 100V/200V 110V 110V 220V - 220V 220V - - - 820V - 600V 30A
単相2線 1線接地 100V 110V 110V - - 145V 145V - - - 710V - 600V 30A
単相2線 1線接地 200V 220V 220V - - 290V 290V - - - 820V - 600V 30A
単相2線 中性点接地 200V - 110V 220V - - 220V - - - 710V - 600V 30A
三相3線 Δ結線 1線接地 200V 220V 220V 220V - 290V 290V - - - 820V - 600V 30A
三相4線 Y結線 中性点接地 100V/173V 110V 110V 191V - 190V 190V - - - 710V - 600V 30A
三相4線 Y結線 中性点接地 240V/415V 255V 255V 440V - 440V 440V - - - 855V - 600V 300A
単相3線 中性線接地 100V/200Vと
三相3線 Δ結線 1線接地 200Vで接地相共用
単相3線 中性線接地 100V/200Vおよび 三相3線 Δ結線 1線接地 200Vと同様 330V 330V - - 単相3線 中性線接地 100V/200Vおよび 三相3線 Δ結線 1線接地 200Vと同様

関連ページ

製品に関するご質問や見積依頼等お気軽にお問い合わせください

  • お問い合わせ先一覧
  • お問い合わせフォーム
  • 地震対策
  • ネットワーク
  • セキュリティ
  • ファシリティ
  • 建設・工事・保守
  • 雷リスク診断サービス
  • 雷害対策の基礎知識
  • カタログダウンロード

お問い合わせはこちら 製品に関するご質問や見積依頼などお気軽にお問い合わせください